書評 「曖昧な弱者の時代」

ネット右翼

本書は雑誌の寄稿した記事をまとめたものになる

ひろゆき論、山上のSNS分析、石丸現象、財務省解体デモ、参政党
そして高市政権について書いている

「曖昧な弱者」が動けば政治は大きく変わるが
それが現在ではいい方向に行っているとは思えないということを
本書では解き明かそうとしているのだろうと思う

・「曖昧な弱者」=ロウアーミドル

本書では「曖昧な弱者」というのを
ロウアーミドルと定義をしている

ロウアーミドルは中間層の中で
コロナ以降の円安、株高、賃上げなどの社会変化に
置いて行かれた層であると定義をしている

彼らはおそらく政治について
今までそこまで関心がなかったと感じる

彼らは今まではコスパ、タイパみたいな
効率的にサバイブする手法
「自己啓発的」な方法で今までやってきたが
コロナ以降それが難しくなったということで
政治に飛びついてのだろうかと思った

・ひろゆき的な思考法

本書では「ひろゆき論」で
現在でも注目されているインフルエンサーのひろゆき(西村博之)が
社会に影響を与えているとしている

彼は「弱者のためのネオリベ」で
「オワコンの日本で、自分だけが生き抜ける」ということを書いているらしい

ひろゆきの有名な言葉で
「嘘を嘘で見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」
という言葉がある
これは本人も含めて、完全に満たすのは難しい

こういう思考法ではすべてを疑ってしまう
何も信じないということになってしまう
すべてを疑うということは逆に騙されやすい

政治家の公約も「どうせ公約はあとでひっくり返すんだろ?」
と疑うことも簡単だが
逆に相対的にどうやって政治を選んでいるかというと
おそらく認知バイアスではないかと考える

例えば、ショート動画やまとめサイトで
「左翼はダメだ」という主張を多く見せられると
そういう思考に固まってしまう

個人的には弱者のネオリベ的な手法で
副業をする人もいて
そういう人が政治系のショート動画でマネタイズをすることも
複雑になっているのではないかと考える

・前政治的な部分がフックになる

曖昧な弱者=ロウアーミドルは
今まで政治についてそこまで関心がないように思う

その人たちをどのように政治に振り向かせるか
石丸現象では「政治以前」の部分がフックになる
石丸伸二のSNSでは政治のことはあまり語っておらず
彼は「仕事のテクニック」「話し方のコツ」など
自己啓発的なノウハウを語っている部分が多い

おそらく、「曖昧な弱者」は今まで政治にあまり興味を持っていなかったので
政治性を前面に出さないことが
フックになるのだろうと思う。
リベラル側はよくも悪くも政治性を前面に出してしまう。

・「真ん中を守るために端っこを切り捨てる」

参政党の掲げたキャッチコピー「日本人ファースト」
そして、国民民主の「現役世代の手取りを増やす」は
当事者が意図したかどうかわからないが
「真ん中を守るために端っこを切り捨てる」という意味合いが
含まれているように思う

犬笛とは言わないが
曖昧な弱者はスローガンの隠れたメッセージに共感をする

「端っこ」は政党ごと微妙に設定が違う
参政党、高市政権は外国人
国民民主、石丸は高齢者
斎藤元彦はオールドメディア
という感じだろう

曖昧な弱者はリベラルを支持しない
これは本書ではリベラル側は
「明確な弱者を守る」という意識が強いことが理由だとしていて
「曖昧な弱者」を守らないと考えている

なぜ彼らはリベラルを支持しないのかというと
リベラル側の「みんなで豊かになる」という物語を信じられなくなっている
リベラルは端っこ、つまり「明確な弱者」を切り捨てることをしないので
それが「曖昧な弱者」を重視していないと感じられ支持が広がらない

「曖昧な弱者」はおそれく
「みんなで豊かになろう」とか「みんながみんなを支える社会」
というのが信じられない

これは、「曖昧な弱者」自身が
おそらく今まで「政治は自分たちを守ってくれなかった」
という想いがつよい
これはロスジェネなどの問題も大きくかかわってくるだろうと思う

・真ん中が傷んだ時代

現在は真ん中が傷んだ時代である
本書ではこれは経済的な側面が強いという意見だが
おそらく他にもいろいろな面で真ん中(曖昧な弱者)は傷んでいる

彼らはそこまで若くはないが老人でもなく
上の世代のように右肩上がりの時代的な上昇はできず
下の世代のように輝かしい未来は望めない

親世代の介護も考えなければならず
そうでなくとも少子高齢化で社会保障が心配だと言われる
下の世代に対しても敏感にならないといけないし
ハラスメントが過去との基準と違うので扱いが難しくなった

近年で中年の某野球監督や芸能人が
DVやハラスメントなどが報道され
自分は「普通」にやっていたとしても
それが通用しないのではというプレッシャーもでてくる

そして、LGBTQなどのマイノリティの対応など
新しい変化も起こってくる

さらに近年のネットサービスがわからないどころか
AIによって仕事が奪われるというプレッシャーもある。

その様々プレッシャーを
中年の危機という言葉がある通り
心身が不安的な状況で
対応しないといけないというのは
まさに真ん中が傷んでいる時代になっている

・高市政権はどうなるか?

本書では「曖昧な弱者」を取り込んだ高市政権では
日本はよくならないと悲観的な予測をしている。

本書では高市政権も参政党などと同じように
「曖昧な弱者」にアピールをして権力を握った存在で
「積極財政」「安全保障」を打ち出していくと予測をしている。

ただし、減税は悲願と言っていた高市政権は
消費税減税が早期に実施できない状況になっている
これは本人がウソをついたか、政策的に頓挫したのかわからないが
少なくとも「積極財政」という部分はひっこめなくなくてはいけなくなった

これをカバーするために
「安全保障」の分野を大きく打ち出している
しかし、スパイ防止法などチェック機能が不十分だったり
国旗損壊罪など表現の自由にかかわる問題のある法案がでてきたり
皇室典範を改正していたり養子をとれるようにしたり
あとは維新のために副首都法案までやろうとしていて
かなり右派に振り切って政策を実行している状況になっている。

これは曖昧な弱者を救済しないように思うが
支持層がこういうことに対してどう考えるのか?

そして、高市政権の次は
参政党や国民民主、チームみらいあたりが
「曖昧な弱者」の支持を集めるのか
それはわからない。

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