本書は1970年代から
パンデミック、ロシアのウクライナ侵攻を経て
約50年ぶりにインフレが復活してしまったので
世界的にインフレについて本気で考えなければならなくなったので
インフレについての歴史を書いている本である。
ただ、本書は難解なので
なかなか内容が難しいところも多いが
個人的に気になったところの感想を書いていこうと思う。
・インフレの原因は「物価上昇」と「貨幣価値の下落」である
本書はインフレの原因は
「物価上昇」、「貨幣価値の下落」ということに集約している
これはコインの裏表である
そして、貨幣の価値は「信用」という部分も考慮しており
政府がインフレを放置すると認識すると
大衆は貨幣を信用しなくなり、貨幣を手放し
外貨や実物資産など価値保存ができるものに買いかえていくことになる
それがさらに通貨の価値を下落させることになり
インフレが加速する要因になる。
・政府はあえて高インフレを利用することもある
本書では政府はあえてインフレを容認し
政府負債を圧縮しようとする方法をとるようになることをしようとする
そのためにインフレを放置し
物価上昇の統計を誤魔化したりすることもあるらしい。
理由としては
インフレ対策をするということは
景気を悪化させるとか大衆の不満が大きくなりやすいので
なかなか手を付けられないことが多いが
インフレを放置すると問題が悪化して
払う犠牲が大きくなってしまうことになる。
・過剰にデフレリスクを恐れることにより、インフレリスクが高まる。
日本も含めて世界的に
デフレリスクを恐れるあまり
インフレを誘発しやすい政策を繰り返している。
金融緩和策がその最たるもので
量的緩和をコロナの経済対策までにあまりにもやりすぎている。
量的緩和は国債の金利を引き下げるので
金利(債券価格)が上下することによって
インフレを察知する機能が失われたことを危惧している。
おそらく、金融政策で
日本が一番緩和的な政策をアベノミクスでとっており
マイナス金利、イールドカーブコントロール、日銀ETF買い入れなど
異常に緩和的なので、そこからインフレ対策をするというのは
至難の業だと考えてしまう。
そして、現在もそうだが政府はインフレ対策をする中央銀行にデフレリスクを恐れ
圧力をかけてしまうが
それがインフレリスクを大きくしてしまう。
しかし、インフレを沈静化させないと
ほかの経済状況も悪化することで
問題が大きくなるとしている。
・高インフレで金儲けをすることは極めて難しい
よく、株式・不動産・貴金属などの資産が
「インフレに強い」と言われるがそれは相対的なもので
基本的に資産を減らさないための「防御」ということになる
実はドイツのフーゴー・シュティンネスという富豪が
借金をして、不動産を買いあさり
ハイパーインフレ期に大儲けをしたという逸話があるが
それができるのは一握りだろう
日本でよく「金利を上げると住宅ローンを組んでいる人が大変だ」
という意見があるが
実質金利が低く、インフレで所得が上昇している人にとっては
逆に得をするというので
住宅ローンを組んでいるというだけで負担が多いとは決めつけられない
本書では高インフレ下では
賃上げ交渉は「無法地帯」になると書いており、
インフレで実質賃金は下がるので
どうしても賃上げの圧力は高まるとしている
インフレに対して政府がどこまで本気なのかで
資産がどう動くのかを考えないといけないが
基本的に難しいものだと思う。
・エネルギー補助金についての記述は現在の日本について当てはまる
本書に書かれていることで
日本にピッタリあてはまることは
おそらくエネルギー補助金であると考えられる。
日本はイラン戦争から
ガソリン価格を170円ほどに抑制し
2026年7月~9月までは電気代補助金も出している
しかし、これは短期的なものならいいが
長期的に続くなら膨大な財政赤字になるとされる。
補助金のせいで財政赤字が膨らんで
結果として通貨安が進んでいくことになる。
エネルギー補助金については
結局のところ需要を抑制するか供給を増やすかの
どちらかの政策をとらないといけないが
高市政権は需要は抑制させていないので
これが長続きするとは思えないがイラン戦争が終わる気配はない。
2026年9月現在
紅海側で親イラン組織のフーシ派が管理を強めるというニュースがあり
これが日本のエネルギー危機を悪化させるかどうかは不透明だが
危機が続く中で補助金政策をどこまで続けるのか見通せなくなってきた。

