「シニア右翼」 感想

本書はネトウヨ業界にいた古谷経衡氏が
ネトウヨということについてまとめた本になる

本書を読んで驚いたのが
ネトウヨの多くは50代以上のシニアが多い
そして、自営業やフリーランスの人が多く
職業的には貧困層などでは決してない
むしろ裕福なほうであるとされている

そして、ネトウヨは
基本的に読書をほとんどしないとされる
ビックリしたエピソードでは
櫻井よしこ氏が主宰する
国家基本問題研究所(通称国基研)の青年部の人が
櫻井よしこ氏の本を積んでいるがほとんど読んでいないということを
紹介されたときは驚いた

そして、古谷氏と
同じ世代やそれより下の世代については
社会的な知識があまりなく、常識もないという(例えば、「慎重」という漢字が読めないとか)

彼らは日本が好き、靖国神社が好き
韓国、中国が嫌い
民主党政権が嫌い
と言っているばかりで具体的なコメントができない

少し前、「れいわ新選組の支持者は境界知能」
という言説をある学者が発言をしたが
実はネトウヨのほうが
それにあてはまるのではないかと感じた

そもそも、ネトウヨ的な
排外主義は実は戦前の右翼思想からしてもおかしく
天皇を頂点として、日本人は韓国人、中国人と団結し
日本人が彼らを率いるという
アジア主義を体系的に学んでいるとはいえない

じゃあ、ネトウヨの思想はどこからきたかというと
「保守言論人」の発言をオウム返ししているだけという

そして、なぜネトウヨに
50代以上のシニアが多いのかというと
彼らはネットの不便で危険な時代をしらないまま
快適なインターネットを使っている

だから、トンデモなネット動画などを
信じてしまいネトウヨになるとされる

そして、若い世代(20代以下)も
ネットの快適な時代しかしらないので
トンデモな動画にハマりネトウヨになる可能性がある

黒瀬深などのインフルエンサーがその典型とされる

おそらく、本書では
30、40代あたりはネットの不便で危険な時期を知っているので
ネトウヨになりにくいとされる

そこに対しては個人的には少し異論がある
なぜなら、過去のネット文化に体験している
30、40代はネトウヨまでにはならないまでも
「アンチ左翼」的な思想になっているように思うからだ
そういう人が立憲民主党、共産党などのベーシックなリベラル政党を
積極的に支持したり、投票したりするとは個人的に思えない

彼らは匿名掲示板、ネット動画、SNS、まとめサイトの
ネット文化にどっぷり浸かっていた
それによってできたバイアスは
実はネトウヨに極めて親和性があるバイアスなのではないかと考えている

たとえば、最近では
日本共産党のトップになった田村智子議員が
批判をする人をさらしあげてパワハラをしているとか
山本太郎議員が被災地に松葉杖をついていってカレーを食ったとか
フェミニストは漫画アニメを規制したい奴らだ
というバイアスがあるように思う

過去のもので典型的なのは
「沖縄米軍基地反対する人は中国の脅威を考えないお花畑だ」
「シールズが安保法案反対するのはお花畑だ」
みたいな感じか

だから、彼らは
さすがに「在日特権」という古いデマには流されないだろうが
別のフックからのトンデモにはひっかかる可能性がある

最近コラボで不正があったとデマを拡散をした
インフルエンサーが書類送検されたのは
その一つの例だと思う

「Colabo」への名誉毀損疑い 「暇空茜」名乗る男性を書類送検 | 毎日新聞
若年女性を支援する一般社団法人「Colabo(コラボ)」(東京都新宿区)を中傷する書き込みをブログにしたとして、警視庁は、「暇空茜」の名前で活動するユーチューバーの男性(41)を名誉毀損(きそん)容疑で書類送検した。捜査関係者への取材で判明...

これは自戒を込めて書くが
本書に書いている
「戦後民主主義の不徹底」というのは
全世代的な問題なので
なにかフックによって
だれでもトンデモにひっかかる可能性があると思った

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