暴落本を読む⑮【キャリーバブルとクラッシュ】『キャリートレードの興隆』 感想

キャリートレードの興隆
(ティム・リー、ジェイミー・リー、ケビン・コールディロン 著)
2022年1月発刊

【注意】
この本は難解な部分が多いので感想の内容に間違いがあるかもしれません
もし、おかしいと思ったところがあれば自分で本書を読んでみてください

・本書の概要
・現在の金融の世界ではキャリートレードが支配をしている
・キャリートレードでキャリーバブルとキャリークラッシュを繰り返し、それをキャリーレジームと呼ぶ
・キャリーレジームは中央銀行が下支えしており、それが終わるときは金融システムの大きな衝撃となる

・エミン・ユルマズ氏が共感した本
本書はエコノミストのエミン・ユルマズ氏が
『エブリシングバブルの崩壊』という本のなかで
「全体的に内容に共感をした」と書いていた

その日本語訳版が2022年に発売されたので読んでみた

エミン氏は「日本株推し」らしいが
本書の内容では将来を悲観的にとらえているので
全体的に共感したのなら「日本株」についても楽観的には考えられないような・・・

・キャリートレードとはなにか?

キャリートレードとはよくあるのが通貨のキャリートレード
例えば「低金利通貨」(日本円など)を借りて「高金利通貨」(トルコリラなど)で運用するものを指す

しかし、本書では
『「低金利通貨」を借りて、それ以外の利回りが高い商品で運用すること』を指す

高金利通貨などの利回りが高いものは
インフレ率が高いなどの大きなリスクがある
キャリートレードによって、リスクが大きい資産が
実力以上に評価され上昇する
それがキャリーバブルである

そのキャリーバブルが崩壊することをキャリークラッシュと呼ぶ
キャリークラッシュはキャリートレードのリスクである

キャリートレードは
流動性の提供、ボラティリティの売り、レバレッジを含んでいるものが多い

・現在のキャリートレードはS&P500

現在はそれがS&P500に集中している
S&P500のボラティリティはVIX指数であり、
それを売ることが利益が大きい

・中央銀行がキャリートレードを下支えしている

本書では中央銀行(FRB)がキャリートレードを下支えしているという
キャリークラッシュが起こり金融システムに衝撃が走ると
中央銀行が金融危機を起こさないように
金利引き下げ、量的緩和政策を進める

それによって、キャリートレードが息を吹き返し
キャリーレジームが続いていく

キャリーレジームが続くと
キャリークラッシュで破滅的なダメージ受けるはずだったトレーダーのダメージが軽減をされ
さらにキャリーバブルが大きくなっていく

キャリークラッシュにより高利回り資産の本当のリスクが明らかになるが
それが明らかになるまで
「リスクの高い資産」は「現金と同じような資産」に見える

キャリークラッシュが始まると「本当の現金」の価値が大きく高まる
しかし、中央銀行が介入するとキャリーレジームが延命されることになる
クラッシュによって退場するはずだった人が延命することになる

それによって、リソースの配分が大きく偏り
金持ちがさらに金持ちになるというような格差がひろがる
そして、リスクが社会化され格差が広がる
つまり、「ナニカが起こると中央銀行がなんとかしてくれる」
というモラルハザードが蔓延し、トレーダーはリスクの高い投機を続ける

・キャリーレジームはどうやって終わるのか?

本書でキャリーレジームの終わり方は
①金融ボラティリティが高くなる
②高インフレが起こる

これらのどちらかが必須という

しかし、キャリークラッシュが起こると中央銀行が量的緩和をする。
キャリークラッシュによりインフレ率が低下すると
量的緩和をし、中央銀行がキャリーバブルをさらに膨らませることになるので
慢性的な高インフレがキャリーレジーム終焉のきっかけになるという

【まとめ】
本書では現在の金融システムは
キャリーレジームに支配をされており、中央銀行がそれをいままで延命させてきたという
2008年ごろのキャリークラッシュ(リーマンショック)が
キャリーを巻き戻す最後の機会だったという
しかし、現在ではそのときよりもキャリーバブルがあまりにも大きくなっていて
近年ではS&P500に投資をしないことが投資のリターンを得るためには不利になっていて
さらに多くのマネーがS&P500に集中している

このキャリーバブルがクラッシュをすると
金融システムを揺るがす危機になるという
そのときにはどうなるか予測もつかない
本書では今後20年くらいは危機の時代がくるという

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