『この国を覆う憎悪と嘲笑の濁流の正体』 感想

ジャーナリストの安田浩一氏と青木理氏の対談本
本書は2021年の学術会議任命拒否問題が話題になっているときに出たので
その部分に触れているところもあるが
基本的に在日コリアンなどのヘイトスピーチ問題、沖縄米軍基地問題が多い

・昔は右翼は韓国と仲良しだった

本書を読むと
実は右翼と韓国は昔は繋がりがあったということを書いていて驚いた
例えば、現在極右とされている瀬戸弘幸という活動家は韓国でセウマル運動をしていたらしい。
理由としては韓国が「反共の同士」という認識だった

当然、安倍晋三の一族も韓国のつながりがある
それが韓国の民主化によって、右翼と韓国とのパイプがなくなったので嫌韓になった

そして2002年の日朝首脳会談
つまり、北朝鮮の拉致問題が明るみになったことで
逆転し朝鮮半島へのヘイトスピーチが噴出したという推測をしている。
それにうまく乗って権力をとれたのが安倍晋三である
安倍晋三は北朝鮮に対してタカ派的な態度をとって支持率を上げてきた
しかし、彼は拉致問題で権力をとれたが拉致問題自体が結局解決できなかった

ネットニュースで見て驚いたのが
拉致被害者家族の横田早紀江さんの手紙で
安倍晋三のことについて一切触れていないことだった
拉致の安倍と言われても長年結果を出せない人間に愛想をつかしたのかなと考えた

拉致から47年、政府は「命がけで動いて」 88歳になった母の叫び めぐみへの手紙 横田早紀江
めぐみちゃん、こんにちは。目まぐるしく日々は流れ、令和6年もあっという間に過ぎ去りそうです。今年も、あなたが北朝鮮に拉致された11月15日を迎えてしまいました…

個人的には過去の反共の残り香をうまくつかって
「野党はダメだ」「共産主義(社会主義)はダメだ」
という空気をコントロールし権力を維持しているように感じる

しかし、拉致問題も含めて現在の問題は少子高齢化、賃金、裏金問題、政治不信が上がらないなどいろいろあるが
それは過去の自民党政権の不作為によってつくられてきたものである
だが、それを自民党が解決できるかと言えば極めて難しいと言わざるを得ない

・「愛国」は快感?

本書では菅義偉元首相は権力を振るうことが快感だと書いていて
そして、ネット右翼もヘイトスピーチが「快感」だと発言していたという

日本は経済的に弱く貧しくなっていて
そして、かつて「遅れた国」だと思っていた中国、韓国などが経済的に日本を追いつき追い抜かしている
(一人当たりGDPでは2023年に日本は韓国に抜かれている)

その剝奪感、劣等感などが
複雑にからみあってヘイトスピーチに駆り立てているという

本書では安倍政権で
ロシアとの北方領土問題が完全に一蹴された
そして、アメリカでは米軍基地が沖縄に長期間があるのは異常ではないか?
それに対して、なぜネトウヨに騒がないのかと聞くと
「外国だから」とネトウヨは言ったらしい

正直、韓国も中国も「外国」だろと思うが
ネトウヨ的にはこういう剝奪感、劣等感が複雑に絡み合っていて
加害の歴史があり、経済的にも「遅れていた国」とみなしていた中国、韓国に追いつかれ追い抜かれていく
その発露がヘイトスピーチになっていくという

でもそれは愛国心なのか?

・「公金で反日するな」という感情

学術会議任命拒否問題で
日本学術会議問題をバッシングするのは
「公金で反日活動をするな」という感情らしい

2022年後半から
女性支援NPO法人のバッシングがすごかったように思う

これも「公金不正をしている」というデマを
インフルエンサーが拡散させたからだろう

しかし、この問題で
NPOをバッシングをしている人たちが
自民党の裏金問題など他の公金不正について無頓着な人が多い

要はダブルスタンダードを隠さないのである

つまり、「公金不正は許さない」というのはレトリックに使っているにすぎない
本気で公金不正を許さないのなら
公金不正がなかったNPOに謝罪をしないといけないし
自民党の裏金問題も徹底的に批判をしないといけないのにそれをしない

・『加害の歴史に向き合う』のは本当に難しい

本書では「日本は加害の歴史に向き合わないといけない」
と普通に言っているが
それは徹底するのはかなり難しいことだと思い知らされた

これは別に戦争を絡めた歴史だけではなく

例えば、ジャニーズ問題でメディア人はみんな知っていたはずなのに
なぜ沈黙していたのかを徹底して解明できなかった

リベラル側は右派よりも人権侵害にたいして批判を良くしていると思うが
それを徹底するのは難しい
本書の共著者である青木理氏本人も少し前「劣等民族発言」によってしばらく仕事休止が続いた

ただ、それによって「青木理の発言はすべてダメだ」という極端な方向に煽られてのもよくないと思う
相対的に見るべきだがそれは難しい

ちなみに百田尚樹氏、河村たかし氏については「大村知事リコール問題」の関係者としてかなり批判をしているところがあるが、彼らは現在『日本保守党』という国政政党の関係者になっているので注視して観ていかないといけないと思った

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