今更ながら小林よしのりの『戦争論』を読んだ
おそらく、自分は『戦争論』がベストセラーになったときの世代なんだろうけど
「ゴーマニズム宣言」シリーズは正直読もうとは思わなかった
別に右翼だからとか、嫌いだからというわけではない
なぜなら、少し立ち読みをしたときに
この漫画は対立する人物を醜く描いていると感じ
そのような漫画では自分のバイアスが歪んでしまうのでは直観したので
多少は読書をする自分だが小林よしのりの漫画から距離をとったのだ
ただ、『戦争論』というのはベストセラーであり
さらにネット右翼のバイブルらしいので
今更ながら読んでみることにした
・大東亜戦争肯定論
本書は基本的に大東亜戦争肯定論になっている
もちろん、「大本営に責任がある」「軍では餓死者が多い」という
否定的な部分もわかっていながら、肯定をしている
単純に戦後日本が「戦前の日本は愚か」と切り捨てることで
思考停止をしていることが問題で
戦争で戦った先祖を「愚か」とか「犬死」であるという戦後日本に強い批判をしている
戦後日本は
「鬼畜米英」から「反戦平和」にひっくり返っただけで
中身は変わっていない
・小林よしのりの個人的な経験が関係している?
小林よしのりは薬害エイズ、統一教会、オウム真理教などに関わりをもって
売れっ子漫画家としてはかなり特殊な経験をしている
そして、小林氏の祖父が戦争経験者だったことが本書の主張に影響されているように思う
戦争に行った祖父は当然
過酷な戦場に行き、人も殺めたことになる
そのような人がたくさんいたのに
戦争に負けたから「日本は愚かだった」と切り捨てていいのかという疑問
反戦平和を主張しているとしても日本政府は米国の原爆投下などの責任を追及できない
戦争に負けたからか、安全保障をアメリカに握られているのかわからないが
そういう日本はおかしいという主張がある
・荒れる若者論が随所に挟まれている
本書を読んで気になったのは
漫画の随所に「荒れる若者」という社会問題を描いているように思う
「男は暴力、女は売春」という感じである
実は若者の事件というのはずっと右肩下がりになっているらしいが
当時はメディアでさかんに「荒れる若者」を喧伝されていたから
こういう風潮があったのかなと思う
近年の「不法外国人問題」も別に外国人の犯罪が多いわけではなくて
メディア(現在はネット中心?)につくられたフェイクであると思うのだが
それが「荒れる若者」から「外国人問題」にスライドしているだけであるのかなと思ってしまう
歴史は繰り返すということか?
もちろん、当事者にとっては極端な主張によってつらい想いをした人がいるのかもしれないが
本書で描かれた若者は現在では中年になっており
当時の風潮を払拭しきれまま大人になってしまった
・「騙された」と責任を放棄する日本人
日本は戦争でうまくいっている(ように見える)ときは特に批判もせずに支持をし続け
ダメになったときは「軍部に騙された」として
自分の責任を放棄をする人間が多いことを嘆いている
これは小林氏が統一教会、オウムなどのカルトに深くかかわったことで
元信者が騙されたとして自分の責任を考えないことを目の当たりにしたからかもしれない
今だったら「与党(基本的には自民党)に騙された」となるのかもしれない
ただ、高市早苗内閣の支持率がご祝儀としても70%を超えている(2025年10月現在)ので
『騙された』となるのはもっと悲劇的なことになってからになるだろう
ただ、今のところはそうなっていない
インフレがさらに進んだり、逆に大恐慌みたいなことが起こったり
どこかで戦争みたいなことに巻き込まれたりすれば豹変するのかもしれない
ただ、現在のほうがインターネットなど情報の選択が広がっており
選挙権も一定年齢以上の日本人なら持っているので
おそらく当時よりも政治に関しては国民の責任は相対的に大きくなっている
しかし、日本は選挙の投票率も5割にいかないときも多く
大半の人は「政治はわからない」として責任を持たないとかで投票をしない
そうすると組織票を固めている与党が有利になった状況が長く続いている現在では
第二次世界大戦のときとは比較にならないくらい
責任が大きくなっているがそれを直視しにくい
もちろん、私も「○○に投票しろ」と偉そうなことはいえない
しかし、つまらない選挙、くだらない選挙、結果がわかり切っている選挙などでも
投票をちゃんしていないと
いざ本当にちゃんとした選択をしないといけないときに間違えてしまう可能性が高いからだ
要は現在では無党派層を気取っていても責任を追及されない今は
「騙されただけ」と言わなくてもかまわない
しかし、「騙されただけ」と言わなくてはいけなくなったときには
もはや手遅れなのかもしれない
